甘いものが好きか?と聞かれれば、「きらいではない」が答えだ。
辛党ではないけれど、甘党というわけでもない。
『ありゃ、食う(あれば、食べる)』
その程度だ。
洋菓子は、テンションが上がるものだけれど、団子とか饅頭という類のほうが好きかもしれない。とはいっても、「どら焼き」に、これといった思い入れはない。
グーグルマップで、何がどこにあるかや、知らない地名の位置を見るのがけっこう好きだ。だれかが云った、聞き慣れない地名や興味を引く店名を思い出した時なんかに、マップを開く。
グーグルマップは、拡大と縮小の加減で、お店や名所とそのカンタンな説明がでてきたり、なくなったりする。
新宿駅西口あたりのマップを何度か開き、拡大縮小する度に、目を引いたのが「ドラえもんのどら焼き」という表記だ。マンガや作者の名前は、詳しくはなくても目や耳にしたことのある人のほうが世の中には多いのでは、と個人的に推測している、あの「ドラえもん」だ。
新宿駅近辺のマップを何度となく見るたび、そのマンガのキャラクターに関連する『時屋』があまりにも目につくので、「ドラえもん」ファンでも「どら焼き」好きでもないけれど、行ってみる気になってしまった。
店内は、上野や浅草、下町にあるような昔ながらの甘味屋、といった感じだ。おしゃれなカフェではない。
「どら焼き」とうたっているので、メニューには「どら焼き」と飲み物のセットが載っていたが、あんみつや軽食のうどんなどもある(甘味屋なので)。客層は、シルバーヘアのマダムのグループから、デートと思しき男女、少し意外だったのが、学生くらいの男の子の2人組。『聖地巡礼』だろうか。
さて、肝心の「どら焼き」のこと。
「ドラちゃん」の焼き印が入っているわけではない、ごくふつうの「どら焼き」だ。奇をてらわない「どらやき」。ふつうだからこその究極。あっ、と驚くものではないが、じわじわ来る深み。時を重ね、実直に作り続けてきた人たちの秘めたるエネルギーに思いを馳せてしまう、そんな「どら焼き」だった。
「どら焼き」は、店頭でも買えるので、お土産にも自分用のおやつにも。
**『時屋』への行き方 ① 新宿駅東口から ② 新宿駅西口から