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メニエール病を体験して

1:病気になった経緯

それは、私が高校2年生の1学期の時でした。私は勉強に部活にと打ち込むごく一般的な女子高校生でした。私が在籍していた学科は特別進学クラスということもあり、毎日部活で疲れたあとの大量の宿題に悩まされている時期でした。正直、そこまでまじめではなかったため適度にさぼりつつ、成績をキープしながら毎日を送っていました。

我が家は父と母、父方の祖父母、妹と弟の7人家族で暮らしていました。母は看護師だったのですが、ある時から腰が痛いと言い出し、整形外科に通っていたのですが、ついには歩くこともままならなくなってきました。そんなある日、乳がんになったと母から聞かされ、その時でステージ4、骨への転移、リンパ節転移もあるため、手術も不可能であると言われてしまいました。つまり、腰痛や足腰の痛みはがんによるものだったのです。その日から母は療養に専念し、通院で抗がん剤治療を続けながら、体調が悪い時は入院するといった生活を繰り返していました。もちろん、家のことをする人がいなくなってしまったので、普段からよく手伝っていた私に白羽の矢が立ち、私は母の病院の付き添いや、介護や家事、そして勉強、部活のすべてを両立しなければならなくなったのでした。この状況で部活を続けるのは無理だと家族から言われていたのですが、私にとって唯一の気分転換が部活だったため、ちゃんと他のこともやる、家族の母の療養や家事を手伝うという約束で、部活は続けさせてもらうことができました。しかし、父は仕事で夜遅く帰ってくる生活、弟や、妹たちもお姉ちゃんがやってくれるからと全く手伝ってくれず、祖父が少し手伝ってくれていたのですが、祖母がアルツハイマー型の認知症になっていたこともあり、そちらの介護もあるため、あまり頼ることができず、私のストレスは溜まっていくばかりでした。
私はその時、将来の夢がありました。それは癌の専門医になることでした。実は母方の祖母も乳がんに罹ったことがあり、手術や、抗がん剤治療をしている所を見てきました。私は困っている女性の助けになりたいという思いで高校に入学し、勉強も一生懸命にしてきました。ですが、母が癌になったことで私の予定も大きく狂わざるを得ませんでした。

2:症状と病名

そんなある日のことでした。私が朝起きると、急にめまいに襲われ、ベットからなかなか起き上がることが出来ずにいました。めまいは寝ている状態でも、座っている状態でも同様にふわふわと体が浮いたような感覚が20分ほど続きました。こんな状態でも朝の準備をしなければならなかったので、適当にこなしていましたが、全てが終わり、学校へ行くころにはめまいは消えていました。ちょうど時期的にも期末テストも迫っていたため、私は疲れているんだと思っていました。ですが、この起床時のめまいはその後、毎日続きました。
その数日後、仕事中の父から私に電話がかかってきたため、電話に出ました。ですが、繋がっているのにも関わらず電話からの声が聞こえづらく、聞き返しても理解できませんでした。音量を変えてみたり、反対側の耳にあててみたり、イヤホンにしてみたりしたのですが、状況が変わらなかったため、電話が壊れているんだと思いましたが、他の人が掛けてきた電話を取ると、聞こえづらいものの聞き取ることは出来ました。そのため、私は電波のせいだろうと思い、特に気にしていませんでした。それは、私が若いこともあり、聞こえなくなるなんて考えてもいなかったためでした。
 それから、1週間たち、依然めまいも改善するどころか、ふわふわとしたようなめまいから、ぐるぐると回るような回転性のものに変わっていきました。そのため、ひどい時には朝からめまいの気持ち悪さで吐くようになってしまったため、内科へ受診し、めまい止め(メリスロン)をもらって生活していました。めまい止めをもらう頃には聞き取りはさらに悪化し、ゴーっという音が鳴り続くような耳鳴りや、こえがこもるような聞こえ方をするといった症状も出ていました。ですが、めまいはめまい止めを内服するだけで、改善し、嘔吐もなくなったためそんな大きなことだとは考えていませんでした。
 そして2年生の2学期なり、学校検診で聴力検査がありました。これは年に1回の定期的な検査で、オージオメーターという、耳にヘッドホンをつけて音が聞こえたらボタンを押し、その反応時間や、聞こえ方をみるといった、ごく一般的な検査でした。特段私は何もないと思って検査を受けたのですが、昨年よりも音が聞こえるまでの空白が長いなと感じていました。結果についてはいつも後からプリントで何もなかったと伝えられるのですが、このときばかりは保健室に呼び出され、再検査ののち結果が伝えられました。私の両耳とも低音領域のみ、聴力が極端に低下していました。この結果を受けて学校側からすぐに精密検査のお知らせを受け取り、私は母と耳鼻科を受診しました。そこで、初めて自分がメニエール病であることが判明しました。
メニエール病とは、めまい、耳鳴り、難聴が主な症状で、内耳の蝸牛という場所にあるリンパ管内に多量にリンパ液が溜まり、感覚細胞を圧迫することでおこる内耳性疾患です。主な原因はストレスによるものと考えられていますが、メカニズムは不明とされています。また、自律神経障害も症状の一つであり、吐き気や、冷や汗をかくこともあります。通常、メニエール病は片耳のみに起こることが一般的ですが、私の場合、両耳に発症していました。診察してもらった医師によると、10万人に1人の割合で起こる珍しい病態であることを知らされました。
耳は通常、外耳、中耳、内耳の器官に分かれています。外耳は耳の外側の耳たぶ(耳介)と、耳の穴からなり、耳介は音を集めるパラボラアンテナのような役割をしています。また、耳の穴は音を鼓膜に伝える物です。中耳は鼓膜から奥の鼓室と呼ばれる空洞までを指します。鼓室には、耳小骨という人体最小の骨があり、鼓膜がキャッチした外からの音を適度な振動に変えて内耳へ届ける役割を担っています。内耳は音の振動や、平衡感覚を感知する機関で、頭蓋骨の側面、耳の軟骨の裏側の骨の下に埋まっています。内耳は蝸牛、前庭、3半規管の三つに分かれており、それぞれ、音を感知する器官、平衡感覚を感知する器官、回転を感知する器官と3つの働きを持っています。内耳の内部はリンパ液でみたされていますが、これが必要以上あると、メニエール病の原因にもなります。

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3半規管とは、人体の平衡感覚をつかさどっている内耳の器官です。三半規管は3つの輪状の形をしており、この中にリンパ液が入っています。そして前庭という器官は、3半規管と、蝸牛をつなぐ中央部分のことを指します。ここには2つの袋状の器官があり、ここにクプラと呼ばれる有毛細胞と、耳石という、カルシウムで出来た極小の石があります。人の体は、左右に傾くと、前庭の中の液体も耳石も動きます。この傾きを有毛細胞が感じとることで、身体は現在どの方向に傾いているのかを知ることが出来ます。これにより、人間は体を支えるバランスをとっています。しかし、有毛細胞が、硬化したり、傷ついていたりすると傾きを感じ取れなくなってしまいます。また、しばらく回転して停止すると、目は回ったままですよね。これは3半規管内のリンパ液が、慣性の法則により回り続けているためです。3半規管では、自身の体が回転することによって内部のリンパ液も回転します。そのリンパ液の回転の速度を神経が感じとることによって、自身がどれぐらいの速度で回転しているのかを感じとることが出来ます。では、メニエール病の人の場合どうなっているかというと、有毛細胞がリンパ液の増加によって圧迫され傷つけられている状態にあるため、有毛細胞は間違った情報を認識してしまい、脳が、身体が傾いていると勘違いすることで、めまいを起こしてしまいます。また、リンパ液の増加による影響は、蝸牛にも表れます。蝸牛は前庭器官に近い方から高い音を感知し、奥に行けば行くほど細くなり、低い音を感知する仕組みになっています。ここに内耳全体でリンパ液が多くなると細い部分には太い部分と比較しても高い圧がかかってしまうため、低音部分が障害されやすいと言われています。

3:対処法と、治療

 メニエール病は30代、40代以上の人にとっては一般的な疾患でありますが、当時の私は17歳と年齢も若く、また両耳を患っていたこともあり、最初に診断された個人院から総合病院へ紹介され、再度本当にメニエール病であるか、確定診断を出すための検査を受けることとなりました。検査内容は純音聴力検査、蝸電図、ABRテスト、SISIテスト、カロリックテスト、頭部MRI検査を受けました。
純音聴力検査とは、ヘッドホンを耳に当て、125Hz~8000Hzまでの高さの違う音の聞こえ方を調べる検査です。検査は左右それぞれに行い聞こえる最も小さな音を検査値として数値化します。また、この検査は防音室にて行われます。それは、検査中に他の音が聞こえると、聞こえた時の音で数値が決定してしまうため、間違った数値が検査値としてでてしまうからです。また、この聴力検査では、骨導と、気導の2種類の検査を行います。気導とは、音の伝わり方が耳の穴から鼓膜を通しで、耳小骨という人体最小の骨で音が増幅され、内耳に伝わるという経路です。それに対して骨導は、頭蓋骨の側面から直接音を感じとり、内耳に伝わる経路です。この2つの経路で検査を行うと、耳の穴の方が悪いのか、それとも内耳が悪いのか判別することができます。私の場合は、内耳が悪かったので、両方の検査ともに低音領域の下降がみられていました。
蝸電図検査とは音によって生じる内耳から発生する電気信号を鼓膜周辺や、耳たぶの外側に電極を張ることで信号をキャッチし、その波形を見て内耳がどのような病にあるのかを検査するものです。そもそも音はどのようにして聞こえているかというと、気導、骨導を介して振動として内耳に伝わったのち、内耳の中にあるリンパ液が振動することでその振動を液体の中にある感覚細胞から生えている極小の毛が感じ取り、電気信号として脳に伝えることで私たちは音を感じています。この検査では小さな音を流し、感覚細胞が感じとる音の信号が各疾患によって違うことを元に、電気信号を波形で示すことで、どんな病気であるかを診断します。私の場合はメニエール病や、低音難聴に特異的なSP振幅増大という波形が現れました。
ABRテストとは、よく赤ちゃんの聴覚スクリーニング検査にも用いられる聴覚検査法です。耳にヘッドホンを付けて音を流し、内耳を活動させることによって生じる脳の電気信号を頭皮から拾うことによって、どの音域がきこえているかを診断する検査です。この検査は、睡眠や意識の影響を受けにくいため詐病の見破りや、精神的要因に関連した難聴も明らかにすることができます。私の検査結果は、低音領域への影響はみられましたが、水腫による影響下にあったため、あまり大きな揺らぎは見られませんでした。
SISIテストとはヘッドホンを用いてある一定の音を出し、その強さを変化させていくことで、その音の強弱を感じとれるかを検査するものです。特にメニエール病等の内耳性の感音性難聴の場合、補充現象と言って難聴である方の耳が、ある一定の音量までは聞こえづらいものの、一定音量を超えてしまうと、健常な耳よりも音が強く響き、耳に刺激を感じることがある現象を起こします。これが起こっているかどうか調べることで内耳に疾患があるのかどうかが分かります。私のこの検査の結果は、全体の80%程度音が大きくなっていることを識別することができました。
カロリックテストとは、耳の穴の中に温水または冷水を入れて、3半規管、前庭という部分を刺激することのより、眼振を起こし、人工的にめまい状態を作る検査です。眼振とは、目が不規則、また規則的に震えるように動く現象のことで、その揺れ方によってどのような疾患が隠れているのか抽出することができます。この検査の場合は耳に大量に水が入った時に前庭部分が刺激された健常者は眼振がおこるのですが、前庭に疾患がある時は眼振が起こらず、めまい発作がおこった時にのみ眼振をおこすという特徴があります。
MRI検査とは、磁気画像共鳴検査の略です。この検査は磁石の力と電波を用いて体内を撮影する方法です。MRIはX線を使用しない撮影法であるため、放射線被ばくを心配する必要がなく、小さな子供から、老人まで安心して検査することができます。MRIの特徴として、身体全体を磁力で包むため、前後、斜め切りでの画像描写や、3Dでの描写にも適しています。また、骨や空気による影響を受けにくいため、骨に囲まれた組織である、脳や、脊髄の撮影にも適し、造影剤なしの血管造影検査も得意としています。ですが、デメリットとして、手術により体内に金具や、電波機器(ペースメーカーや、人工内耳等)を入れた人は原則撮影不可能となっています。これは、磁力と電波による撮影のため、体内に鉄由来の金具があると、浮遊感や、体内での器具のずれ、電波による機器の故障が考えられるためです。ですが、今の最新のペースメーカーや、人工内耳ではMRI可能な機器も生まれています。私の場合は、頭部をMRIにて撮影し、切断面を縦にして診察してもらいましたが、見た目上の大きな変化は見られませんでした。
このすべての検査結果を総合的に診断した結果、メニエール病であると、確定診断が出ました。

次に治療内容についてお話します。私が受けた治療はステロイド薬と、メイロンによる点滴治療、内服による治療です。この治療法は、ステロイド薬を3日間1クールとして点滴治療し、様子を見ながら3クールほど輸液する治療法です。ステロイドとは、副腎皮質ホルモンのことで、もともと人間誰しもが持っているホルモンです。このホルモンは副腎と呼ばれる器官の皮質このホルモンには抗炎症作用や、免疫抑制作用、鎮痛作用、ストレス耐性の増強等の作用があります。そのため、ステロイドは癌治療や、炎症疾患等様々な病気の治療に用いられています。その一方で副作用も多く、肥満、高血糖、消化性潰瘍の形成、感染の誘発、骨粗しょう症、緑内障等々があります。また、メイロンとは、一般的に重曹水と呼ばれるもの
で、治療に用いられるものは、体液浸透圧調整を施した水に炭酸水素ナトリウムを7%入れた点滴薬です。これは、利尿作用による解毒や、蕁麻疹の改善、体内水分量調整、血液の酸化(アシドーシス)改善、メニエール病治療に用いられます。副作用として、悪心、貧血、体液のアルカリ化(アルカローシス)しびれや感覚異常が挙げられます。
私はこれらの薬の副作用に耐えつつ、毎日点滴治療に通院し続けなければなりませんでした。特に副作用のなかでも、感染の誘発と、体重増加、潰瘍形成にはとても苦労しました。感染については、人込みを避ける、マスクを常に着用するといった対策を行っていましたが、如何せん学校に通わなくてはいけなかったため、通学途中のバスや、電車では常にアルコール除菌ゲルを持ち歩き、手洗いうがいは必ず欠かさないように気を付けていました。また、全校集会でたくさんの人が集合するときは自分だけ教室で音声のみで参加をしたりと、風邪をもらう機会を極端に少なくしようと努力していました。また、体重増加については、点滴をしているだけで太りやすくなる上に、身体も倦怠感が続くため、運動で解消するという手段はとれませんでした。そのため、部活は休まなければならなくなったので、体重は余計に増加していきました。私は、せめて食べ過ぎによる体重増加を防ぐため、ご飯の量を計測したり、毎日体重を測ったりしてコントロールしていました。消化性の潰瘍形成予防には、油ものや、難消化性の食べ物、刺激物を極力避け、おかゆやうどんを口にしていました。体重管理のこともあったため、お菓子、スナック類は一切、口にしませんでした。
また、点滴中のトラブルも良く経験しました。というのも私の腕の血管は見えづらく細いため、よく看護師から失敗されたり、点滴中に漏れたりしていました。毎日このようなことが続くので私はとても申し訳ない気持ちでいっぱいでした。その対策として、採血前に温かい飲み物や、カイロで腕を温めたり、ぐーぱー運動するなどして血管が出やすくなるように工夫していました。
また、点滴加療のみでなく、内服治療もしなければなりませんでした。内服治療に用いたのは、メリスロン(抗めまい薬です。)イソバイド(利尿薬:利尿作用により、全身の水分を減らすことで、リンパ管内のむくみを除去する目的で使用されました。メニエール病の治療薬としては一般的な薬剤です。)メチコバール(ビタミンB12製剤です。ビタミンB12には、脳、脊髄を除く神経組織に対して修復を早める効果があります。そのため、傷ついた聴神経を補修する目的で使用されました。)この3つでした。特にイソバイドはシロップ状の薬なのですが、苦みと甘みがまじりあい、何とも言えないまずさでした。それを少しでも飲みやすくするため、冷蔵庫で冷やしたり、シロップにレモン汁を少し絞ったりして飲んでいました。これを1日3回毎日続けることは本当に過酷でした。
点滴は、3クールで終わりましたが、内服は最初2年間続き、少し聴力も回復してきたため一時中止となり、様子観察となりました。ですが、その後も何度も再発しました。最初の再発は現役の大学受験の時でした。受験の1か月前からめまいと耳鳴りが続いたため、再発を疑った私は、通院していた病院行きました。検査の結果は聴力がさらに悪くなっているという内容でした。受験と、母の介護に対するストレスであろうとの診断でしたが、どちらもやめるわけにはいかなかったため、母の介護を家族や、親戚にも助けてもらいながら受験勉強に専念し、治療も行いました。治療は前回の治療内容と同じでしたが、体調と勉強の両立に困惑していました。

4:対処後から現在の状況

 その後、母が亡くなり、自身も看護師として働き始めたのですが、勤務中にめまい発作を起こして倒れたり、耳鳴り等の症状も再発を繰り返したため、私の左耳は完全に聞こえなくなってしまいました。看護師として働くのも医師からストレスのかかるような仕事をしない方が良いといわれてしまったため、夜勤勤務はドクターストップがかかってしまいましたが、現在は日勤専門として働いています。めまい発作は今でも時々起こすのですが、メリスロンですぐに治る程度で、継続しなければ受診はしていません。ですが、半年に1度、定期受診を兼ねて薬をもらう受診はしています。難聴に関しては、会話に支障が出るといけないので左耳のみ補聴器を使用しています。補聴器の使用は医師から処方箋をもらい購入しました。また、医療者なので、聴診器を必ず使用して仕事をしなければなりません。ですが、聴診器は通常、体内の音をチューブを通して耳に伝えるしくみになっているため、聴力の弱い私は使うことが難しい状況です。しかし、現在聴診器にも音量を調整できるものもあるため、それを使用して仕事を行っています。難聴、とめまい発作を抱えながら仕事を行うことは容易ではありません。もちろん仕事中に先輩に対し何度も聞き返すこともありますが、全員医療者なのでご理解をいただき、時には筆談で対応してもらったり、患者様の会話が分かりにくい時は対応を交代してもらったりすることもありますが、快適に生活できています。
めまい発作が起こった時は、頭から倒れないように、すぐにしゃがんで人を呼びます。その後はベット上で薬を内服し、軽快したらその日は早退させてもらい、家に帰るようにさせてもらっています。まだ、車の運転中にめまい発作を起こしたことはないですが、必ず誰かと一緒に乗るようにして、発作が起こったとしても事故を起こさないように対応しています。
 また、自宅で夫といる時や、友達といるときには、なるべく右側から話しかけてもらうように伝えています。それは、左側からだと伝わりにくいことはもちろんなのですが、伝わらないからといって、呼びかけなしに急に肩を叩かれたりすると、とても驚いてしまい、危険だからです。それが、めまいを起こしているときであると、すぐに転倒してしまうおそれもあります。危険から身を守るためにも、自身の身の上のことはなるべく周囲の人に知ってもらうことが重要であると考えます。
そして、私は妊娠、出産も経験しました。その時も、メニエール病と同時進行で、妊娠を継続していました。妊娠中は薬によって、イソバイトや、メリスロンは内服できないため、メチコバールのみ内服していました。妊娠初期は吐きつわりがひどく、食べては嘔吐していました。そのためか、妊娠初期にめまいと、耳鳴りを起こしてしまいましたが、点滴加療と、吐き気止めを使用していました。その時の点滴の内容は、メニエールの加療ではなく、嘔吐による栄養失調の改善目的で点滴を行っていたため、ブドウ糖や、ビタミン剤を点滴してもらっていました。吐き気止めには胎児に影響がないといわれている、プリンペランを使用してもらいました。この吐き気止めは脳の平衡中枢に働きかけ、嘔吐を抑える効果があります。私はこの薬を内服としても処方してもらい、めまい時の嘔気にも内服を行っていました。また、妊娠初期は急速に貧血も進行していたため、鉄剤も処方してもらっていました。これは、貧血が進むことによる、ふらつき、めまいを予防し、メニエールのめまい発作が起こっても、それ以上にめまいや、嘔気の症状が重くならないようにするため、内服していました。妊娠中期では今までの内服を継続しつつ、徐々におなかが大きくなってきていたため、普段からゆっくり歩くように気を付けていました。それはめまい止めを飲めないため、私の平衡感覚は普段からふわふわと浮遊するような感覚が続いていたためです。嘔気については、そのふわふわとした感覚に身体が慣れていったためか、徐々に薬を内服しなくても、嘔気が起こらなくなっていました。ですが、平衡感覚が侵されているため、ただでさえおなかが大きくなり、重心が前に来るため、普通の妊婦よりも転倒しやすい状況でした。そのため私は普段から壁をつたったり、手すりがあるところでは手すりを利用して、転倒しないように注意していました。また、下を向くと頭が傾くことで、前庭器官が刺激され、めまいの症状を助長するため、下を向くような仕事(針刺し、文章の記載等)は交代してもらっていました。妊娠後期にはよりバランス感覚が悪くなる上に大きなお腹を抱えて寝ることがとても大変でした。寝る時は大きくなるお腹が寝返りをしにくくし、仰向けで寝ると息苦しくなるため、いつも横向きで寝ていました。寝返りの時は無意識下で⑦することができず、一度目を覚ましてから寝返りし、さらに寝るという日々が続いていました。そのせいで睡眠不足になった私は、以前にも増してひどいめまい発作を起こすようになってしまいました。そのせいか、仕事中に一度バランスを崩し、しりもちをついてしまい、お腹が張ってきてしまったためすぐに受診しましたが、子供は無事でした。その後さらに、聴力も低下してきたため早めに産休に入り体を休めると、症状は軽減していきました。産後は、頻回の授乳や、赤ちゃんのお世話等で睡眠不足になり、疲労も蓄積していきました。ですが、出産前に体調を壊していることを見ている夫や、義理の母たちが、家事だけでなく、授乳以外の赤ちゃんのお世話も手伝ってくれました。また、体調が悪い時には私を休ませ、赤ちゃんのお世話を肩代わりしてくれるなど献身的にサポートしてもらったおかげで、大きく体調を崩すことなく、現在まで生活出来ています。わたしは、左耳がもう聞こえないため、赤ちゃんから離れると鳴き声が聞こえにくくなってしまうという難点があるため、常に自分の聞こえる範囲に子供を連れてくるようにしています。また、私が寝ている時に夫が気づいてくれたのですが、寝ている時に赤ちゃんが泣いても、自分の左側に寝かせたり、右側に寝かせていても、自分の寝返りで左耳の方に赤ちゃんがいると気付きづらいという難点があることも判明しました。そのため、赤ちゃんのベットの位置を自分たちのベットの頭の上に置きくことで、自分が寝返りを打っても常に右耳が気づけるように工夫しました。
現在では、赤ちゃんが夜中に泣くと、夫も気づいて、あやしてくれるようになったので、難聴で、めまい発作もありますが、問題なく生活できています。
 私の現在の生活は、周囲の人の支えがあるからこそ今があると思います。私と同様に後天的な難聴や、めまいに悩む人も多いと思いますが、自らの情報発信と自身のことを知ってもらい、理解してもらうことが、生活のしやすさにつながると私は考えます。

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